ピエールの心臓

フリーランスを目指す「20代×転勤族の妻×専業主婦」のブログ。転妻ライフ・文学・インテリアが中心。自称「健やかなスピリチュアル研究家」。

インフルエンザの焼き討ち

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39℃を越える熱にうなされるうちに、織田信長の霊がインフルエンザ菌に乗り移り、私の肉体が比叡山延暦寺となり、山一体を焼き討ちにされるという幻覚を見た。

 

 

…………………

 

 

 

パキッパチッ…

 

ユラユラ…

 

ゴオーーーーー………

 

 

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「住職さまぁー!!!!

すでに本堂まで火が回っているようです!!火消しはもう追い付きません!!

ご本尊様を抱えて逃げましょうーー!!!」

 

 

「おのれ織田信長…なんと罰当たりなやつた…!!」

 

 

 

 

 

 

住職は頭から井戸の水をかぶり、燃え盛る本堂まで、袂で口を抑え息をこらえながら障子を蹴破り飛びいった。

 

 

阿弥陀如来さま!!あぁ勢至菩薩さまも観音菩薩さまもご無事だ…」

 

住職は日頃より信心深く振舞ってはいたが、近ごろ都で蔓延する流行り病や飢饉を耳にするたび、神仏の力というものに懐疑的にならざるを得なくなっていた。

 

そして今回の焼き討ちときている。

 

 

ついに住職は、燃え盛る本堂で今にも業火に焼かれてしまいそうな本尊に向かって問いかけた。

 

 

「あなたは…そうやって我々をお救いもならず、ただの木片となって灰になるおつもりですか!!!神とは……仏とはいったい何なのですか…!!救いこそが信じる力になるのではないのですか…!!信仰とはなんなのですか!!!!」

 

 

 

 

 

もちろん返答はない。

 

 

 

 

「おのれ織田信長め………末代まで呪ってやる…」

 

 

 

 

 

 

そのとき、ついにご本尊様が口を開かれた。

 

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「赦すのです。われわれはただ歴史の大きな流れのなかに仮置きされた駒でしかないのです…すべてはあるがまま……善も悪もないのです…」

 

 

 

 

 

燃え盛る火はついに本堂を焼き尽くし、命からがら山を下りた僧を除いて延暦寺のすべては灰となった。

 

 

 

 

 

 ………………………

 

熱のせいで脳みそが溶けたようだ。